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「梨世ちゃん、ちょっとゆっくり話したいんだ」
「え?」
「タイミングを見て、話そうと思ってたんだけどキミから聞いてきてくれたから話すね」
「う、うん――」
――それは、先日の15時まで遡る。
――……
「尚、兄さんは可愛くてたまらないお前に会いに来たよ!」
「……そうですか」
「連れねぇなぁ……」
「とにかく、何? ビジネスの話って」
「んー、なんつーか。お前はどうやってこの会社ここまで持ってきたわけ?」
「……とりあえず、座ってください。コーヒーは……」
「俺、ブラックでいい」
「僕も、砂糖は入れない派だから」
ふたりして、ブラックのコーヒーを啜りながら手帳を用意する。それも、示し合わせたように同じような黒の皮の手帳。
「それ、イグジスの手帳カバーじゃないですか」
「あ、お前も」
「お揃いとか、やめてください」
「いやいや、そりゃひどいだろ」
「……僕は自分のファッションには服から小物に至るまでオリジナリティを追求してるんだからいろいろ真似しないでよね」
そうして、僕はピンクの飴を舐めると、禅さんは不思議そうに見てくる。
「なにか?」
「いや、それ……アリス飴?」
「えっ、なんでわかったんですか、これ……全然有名じゃないのに」
Alice candyは、僕の毎日舐めてるピエロの模様の包み紙に包まれたピンクの飴の正式名称。
ピンクと、緑と、水色があって――
まさか。
「俺も、それ嗜好品なの」
「!!?」
彼が出したのは、緑のアリス飴。
「ふふっ、あははっ」
「へへっ」
やっぱり兄弟はいろんなとこで、似るのかもしれない。
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