355人が本棚に入れています
本棚に追加
「本当に可愛すぎるからメイクしなくてもイイくらいなのに……だけどメイクしても可愛い、でもしなくても可愛いよ、だけどしても可愛い、でもしなくても……」
「お願いー、お出掛けするからさせて!」
玄関にいる尚くんに届くように会話する。
この尚くんの無限ループが続いてる間にメイク終わらせよう。
「すっぴんの梨世ちゃん、目がきゅるんって真ん丸で肌がお餅みたいで、赤ちゃんみたいなぷるぷるの唇で鼻もちっちゃいし、ふわふわしててそれで睫毛は……」
「尚、わかったから、早く家の中入れてくんね?」
「あ、ごめん」
メイクしたら、お弁当を作って……あ、今日はタクシーは10時にお願いしてるんだっけ。
朝ご飯は絆くんには好きな鮭を焼いて、映美さんも同じでいいよね。尚くんにはうーん……冷蔵庫ちょっと確認しなきゃな。
私……完全に主婦に戻ってるなぁ、やっぱり染み付いた感覚ってすごい。
「梨世ちゃん、メイク終わった? 僕が見ててあげる、そして僕もする」
「わ、尚くん!」
だけど……旦那が違うと朝の過ごし方がまるで違う。
当たり前なんだけど。
私の隣で慣れた手つきでメイクをし始める尚くんは、やっぱり綺麗すぎて自分のことに集中できないよ。
最初のコメントを投稿しよう!