1 幸せな日常

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「本当に可愛すぎるからメイクしなくてもイイくらいなのに……だけどメイクしても可愛い、でもしなくても可愛いよ、だけどしても可愛い、でもしなくても……」 「お願いー、お出掛けするからさせて!」 玄関にいる尚くんに届くように会話する。 この尚くんの無限ループが続いてる間にメイク終わらせよう。 「すっぴんの梨世ちゃん、目がきゅるんって真ん丸で肌がお餅みたいで、赤ちゃんみたいなぷるぷるの唇で鼻もちっちゃいし、ふわふわしててそれで睫毛は……」 「尚、わかったから、早く家の中入れてくんね?」 「あ、ごめん」 メイクしたら、お弁当を作って……あ、今日はタクシーは10時にお願いしてるんだっけ。 朝ご飯は絆くんには好きな鮭を焼いて、映美さんも同じでいいよね。尚くんにはうーん……冷蔵庫ちょっと確認しなきゃな。 私……完全に主婦に戻ってるなぁ、やっぱり染み付いた感覚ってすごい。 「梨世ちゃん、メイク終わった? 僕が見ててあげる、そして僕もする」 「わ、尚くん!」 だけど……旦那が違うと朝の過ごし方がまるで違う。 当たり前なんだけど。 私の隣で慣れた手つきでメイクをし始める尚くんは、やっぱり綺麗すぎて自分のことに集中できないよ。
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