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「……それからは、ゆうなとまりと3人で駆け上がって行ったんだけど、ちょっと会社がブラックで、ふたりに充分な報酬を与えてあげられなかった。そんなとき、たまたまRe:leafっていうファッション誌を見たら、読モとして梨世ちゃんがデビューをしていた」
「……へぇ」
当時を思い出しながら禅さんに語るのは、なんだかとても感慨深いものがあるよ。
彼は興味津々な顔でずっと聞いてくれてる。
「僕は雑誌の中の彼女に一目惚れをした。手に入れなきゃ済まなくなって、独立をして世間に認められるくらい有名になって、ふたりにも人気に比例する報酬を与えてあげるような会社を作ることにした」
「……本当に、出会えたんだな」
「うん、道程は厳しかったよ。当時僕は春乃と別れていろいろあって病んでたし、何より独立するなんてその当時の会社に猛反対されてたから戦ったよね。まずは傘下として子会社として始めてから切り離す形で独立をしたんだ。プロスタイリストとして活躍してた蘭華さんには取締役に入ってもらうことにして、ゆうなとまりを僕の新しく作る会社に移籍させる形を取った」
「ふぅん」
「だけど……」
「?」
「梨世ちゃんは、火野絆って言う旦那、まぁアイツだよね。それと離婚してモデルを辞めてたの」
「……えっ?」
「梨世ちゃんて、バツ2なんだよね」
「は?」
「絆と2回、結婚して離婚してんの」
「なに、それ」
「でも今となっては関係ないけどね。だから僕はモデルを辞めた梨世ちゃんをまたモデルにしたくて、僕が手に入れたくて、探したの」
懐かしいな、だけどまだ……1年も経ってないなんて。
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