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「紗柚は……無垢で、天使みたいなオンナだ。当時は普段カラコンで左右同じ目の色にしてたんだけど……たまたま取れたとこを見られて。俺の悪魔の目を、そんなに綺麗な目見たことないって言ってきた」
「そうなんだ」
「何も知らないこの子には、俺が全部教えて、俺しか知らなければいいって思った」
「……兄さんも、かなりの独占欲の持ち主だね」
「当たり前だろ」
禅さんもきっと、自身と向き合ってくれる女性に会いたかったんだね。
「なんだかんだ、もう付き合って2年経った」
「わお、いいね」
「飽きるどころかどんどんハマってく……」
「ふふ、僕も梨世ちゃんにそんな感じ、彼女の底抜けのおバカさには尊敬出来るものがあるよ」
「それ、聞こえたらぶっ飛ばされるだろ」
「意外にね、力強いし」
お互いの相手を自慢しあったところで、途端に禅さんの表情が険しくなった。
「……俺と、仕事しない?」
「え?」
「いずれ俺は、紗柚の親に認めてもらって紗柚とロスで暮らしたい。だから日本でアイドルなんてさせてたらどうなるかわかんねぇよ」
「!」
待って、そしたら紗柚ちゃんの気持ちが――
(禅との結婚をパパに認めさせてくれたらアイドルやってもいいわ)
「……でも、俺に何か隠し事してるみたいだけど、アイドルをやってみたい紗柚の気持ちも尊重したい」
「うん……」
「てことで考えた」
「?」
「ジュピプロ海外支社作れよ」
「は?」
だけど、きっとそれは僕自身の成長にも繋がる……思っているよりも現実味を帯びた、未来の話。
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