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「……胡麻を振ればいいのね?」
「うん、そんな感じでお願いします!」
なんとか映美さんをキッチンに引っ張りこんでお弁当作りを手伝わせる。
男ふたりは今日の雑誌展以外のデートコースを考えているみたい。
相変わらず尚くんが謎過ぎて絆くんと噛み合わないみたいだけど。
「ねぇ、梨世さんていつからそんなに料理出来るの? 羨ましいわ」
「私の家、片親だったからママが私が小さいときからお仕事してて、私がご飯作ったりしてたんです。それにママが料理上手で、いつも見てたからかな」
「私も今からでも出来るかしら」
「もちろん大丈夫!」
「また遊びに来ていいかしら? 教えてほしいな」
「はい! 喜んで」
「ありがと」
嬉しそうにする映美さんがすごい可愛くてこの人はギャップ萌えの境地だと思った。
むぅ、私に足りないのはギャップかな?
そんなことを話しているうちにお弁当も出来上がり、身支度をしてタクシーに乗り込んだ。
――『国立凰華美術・博物館』
何やら有名な学校法人が国と協力してやっている美術館と博物館らしくて、中に入ると厳かな雰囲気が漂い、緊張感が増した。
だけど雑誌展の入り口はポップな雰囲気で入りやすそうだったから安心したよ。
「大人4枚」
「はい、ありがとうございます」
尚くんがスマートに皆の分のチケットを買ってくれて、渡してくれた。
いつだって意外と紳士だからかっこよくて困るよね。
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