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「紗柚ちゃん、いいかい、うちに所属するってことはね、僕が社長なの。だから、僕の言うことちゃんと聞いてね?」
「嫌よ」
「えっ、嫌なの!?」
「説得してくれるのが先でしょ」
「うーん……参ったな」
禅さんの彼女、もとい将来の嫁、もとい……義妹。
かなり我が儘娘で骨が折れる。
わかってるんだよ、わかってるんだけど……うーん。
「紗柚ちゃん、それは今私と尚くんが考えてるから一緒にレッスン行こう?」
「……お腹の子に障るからレッスンなんてしないほうがいいんじゃなくて?」
「へっ、いやいや、私これでもプロだから加減ぐらいわかってるもん!」
「ふぅん」
あー、梨世ちゃんにまで楯突いちゃって、ゆうなやまりに嫌われちゃわないか心配だよ全く……。
やっぱりやめた方が良かったかな、でも梨世ちゃんがせっかく見つけてくれたし、芸能事務所の社長にも恩返ししたいし……。
何より禅さんのことがなぁ、引っ掛かるよね。
「挽地さん」
「……なんでしょうか、土田さん」
「その態度、どうにかならないの? 仮にもお嬢さまでしょう?」
「……すいません」
……あーあ、まり。
早速怒っちゃった。
ゆうなも、その様子を見てるけど呆れてるよね。
説得させてあげれば、気が収まるのかな。
なんとか、黄色のスタジオに梨世ちゃんと向かったみたいだけど……。
「ねぇ、尚ぽん、あの子大丈夫?」
「尚さん、何か考えがあるんだとは思うけどさ」
「うーん……ゆうな、まり、ちょっと聞いてくれない?」
そうして僕は、全てのいきさつをふたりに話した。
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