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「りぃちゃんっ!!!!!」
「!」
振り返ると、人目も憚らず号泣している尚くんに腕を引っ張られて抱き締められる。
「居なくなっちゃったかと思ったよ。僕が一瞬手を離しちゃったからだよね? ごめんね、ごめんね、怖かったね、寂しかったね」
「尚くん……」
意外にひとりで雑誌をボーッと見ていたとは口が裂けても言えない。
そして周りの人の目が痛い。
私らの正体がバレて噂されているのと、そんな私たちとは無関係ですよ、と言わんばかりに少し遠くに離れたとこから私たちを見ている絆くんと映美さん。
もう、尚くんてば。
でも、好きだよ。
「やっぱり手錠する」
「!?」
久しぶりに登場した手錠に、私は驚きを隠せなくてひとまず尚くんを人気のないところまで引っ張って連れてきた。
「(こんなとこで手錠なんか出さないでよ)」
「(だって、梨世ちゃんが……うっ、うぅ)」
「(しても、いいから)」
「(うん、じゃあ遠慮なくする)」
――ガチャン
「もう、離れられない」
「いつも、尚くんからは離れられないよ」
「離れたりしたら許さない」
「私も許さない」
「ふふ、愛してる」
そう言って順路の途中まで戻ってきた私たち。
私は、尚くんに似てる人が載っている雑誌を教えなきゃと思っていたのにすっかり忘れていたの。
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