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――――…… ――……  渋谷の街は、私とゆうなんとまりりんのCMで染まり、そのあと続いて流れる紗柚ちゃんのグループ『Spica』の、顔を隠したデビュー曲PV。 揃ったダンスが綺麗で、メインを歌う透明感のある声に聴覚を全て奪われる。 「――紗柚ちゃん、歌上手すぎない!?」 「えっ?」 「なんかもう歌手じゃん、よくいる皆でわぁわぁ歌うアイドルとは違うんだね!」 「梨世ちゃん、当たり前だよ、うちの子だもん」 そう、ソロパートを歌うのは紗柚ちゃんでこれも向こうの事務所からの依頼だった。 期待以上の子を見つけてくれて助かった、とこないだ感謝されたらしい尚くんは、ご機嫌な様子で『妻のおかげです。』と言ってくれたようで私まで幸せな気分になる。 「土曜が楽しみだね、ふふ」 昨日の夜、尚くんの元に禅さんから国際電話があった。 その日にロスで紗柚ちゃんのライブの中継を流すって話。 急すぎて、しかも個人的な理由過ぎてふたりして呆れたけどそこで丁度いいから海外のマスコミにも取り上げてもらえるチャンスでしょ?と言う尚くんの機転で、禅さんの会社がスポンサーとして提供してくれることになった。 それには向こうの事務所の社長も大喜びで、禅さんを尚くんと間違えたくだらない燻ってる不倫騒動もこの機会にチャラにしたいんだって。 やっぱり、この兄弟は考えていることがぶっ飛んでいる。 そこにいつだって上手く入り込むのは、ストッパー役の絆くん。 私はそんな3人の関係に寄り添うように力になれたらいいって思ってるの。
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