15 本当の家族は

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次の日、尚くんと病院に行った私は待合室に入るなりふたりして周りの人たちに話しかけられる。 やっぱり知らない人に話しかけられるのは慣れなくて、上手く答えられないところを尚くんはすごく丁寧に優しく答えてあげてるの。 「なんか、尚サマと梨世ちゃんに会えたからご利益ありそう」 「うちの子もこんな美しく産まれて来たらいいなぁ~」 そんな風に言われることも多くて、私たちが何かパワーをあげられてるとしたらそれほど嬉しいことはないよね。 「木暮梨世さん、診察室にお入りください」 そう言われて入るけど、先生にもすごく元気に育っているので安心してくださいねとお墨付きをもらい、新しいエコーの写真を帰り際に渡されて、何事もなく病院を終えた。 「尚くん、今日もついてきてくれてありがとう」 「梨世ちゃん、良かったね、元気に育ってるって」 「うん!!」 「あ、今の笑顔……可愛くてたまらないよ、もっかい!」 「えっ、無理だよ、どんなの」 「あー、今のちょっとムッとなった顔も好き」 「変態」 「褒め言葉」 「すごく変態」 「……梨世ちゃんにだけね?」 式場のあるお台場までタクシーを走らせる。 今日は晴れていてとてもいいお天気。 木々の緑が顔を出す5月の、よく晴れた1日。 世間はゴールデンウィークを終えたばかりで、せわしなく働いている。 ジュピプロもかなりたくさんの仕事が入っていて忙しいはずなのにこうして尚くんは時間を作ってくれるの。 倒れないか心配になるときもあるけど、尚くんはちゃんと隠さず教えてくれる。 私たちの間に、隔たりは何も存在しない。 溶けても全部混ざり合うくらい、同じイキモノになれてると日々、実感するの。
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