347人が本棚に入れています
本棚に追加
/541ページ
――「席次表を決めましょう、あと……音楽ですね」
「はいっ」
式場につくなりプランナーさんが案内してくれて、今日は私たちの披露宴に出席してくれる人を並べる席次表を作る準備なの。
「撮影が入るんで、ここはカメラが通れるように……はい、あ、この取引先はここがいいかな」
「120人ぐらいご出席されますよね、親族席はどうされますか?」
「……うーん、兄さんと紗柚ちゃんを一緒にしたらバレちゃうからダメだし……両家一緒でひとつのテーブルじゃダメですか?」
「と、言うと……」
「親族、少なくて」
尚くんが正直にそう言ったけど。
そんなの、何にも恥ずかしいことじゃなかった。
蘭華さん、ママ、禅さん……
本当の家族は正直これしかいない。
だけど、いいの。
すごく、深い愛で繋がっているから。
「シローさん、入れちゃおっか」
「そうだね!」
「……春乃も、出席してくれるって」
「良かったね」
春乃さんや三枝さんたちと、絆くん、映美さんは同じ席でいいかな?
そんなことを考えていると、絆くんとの結婚式を少しだけ思い出したりしたけど……彼は、祝福してくれるって言ってくれた。
だから、絆くんと映美さんの結婚式も、たくさんたくさん祝福したい。
「梨世ちゃん?」
「あ、ごめん……なんでもないよ」
絆くんの返信ハガキにある『ご出席』の『ご』をシールで消したあと丁寧につけられた丸と、『おめでとうございます』と書いてくれた癖のある字を、優しく……指でなぞった。
最初のコメントを投稿しよう!