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――――……
――……
そうして迎えた、前日だから――
「未だに、信じられないな」
「ん? 何が?」
会場のチェックを完了させて、明日着てもらえるのを待ち構えているR.iseのドレスと、オーダーメイドのプラネタリウム色のドレスを見ながらしみじみ思うの。
「……結婚式、あげるなんて」
「僕は、初めての結婚式だよん」
「ちょっと、私が2回目だからって意地悪言わないで」
リボンのたくさんついた、絆くんと式を挙げたときのウェディングドレスは……真っ白で、全く世の中を知らなかった当時の私に、ものすごく似合っていたように思う。
10人くらいの、親族だけの、小さな式だった。
すごく幸せだった。
だけどまだまだ私は……未熟だった。
あれから、4年。
絆くんと式を挙げてから、もう4年経ったんだ。
別れを二度経験して、もう二度と……チャペルに来ることなんて、ないと思っていたのに。
「……また、来ちゃった」
「えっ?」
「いや、二度……式を挙げるなんて、やっぱりなかなかないから」
今度の式は、少し私は大人になった。
私をたくさん大人にしてくれた彼との、最初で人生最後の結婚式。
「梨世ちゃんとこうして式を挙げること、初めて雑誌でキミを見たときから夢だった」
「……尚くん」
「明日とうとう僕の夢がまたひとつ、叶うんだね」
「そう言われると嬉しい。ありがとう……尚くん」
プラネタリウム色に合わせてくれた、藍色にラメ入りのシルバーの糸でキラキラがたくさん施されている彼のためのタキシード。
それが存在感を放って、私のドレスの隣にかけられていた。
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