16 Happy Wedding!

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パパはいないから、バージンロードはママと歩くの。 式自体は、本当に親しい仲間とジュピプロのメンバーしか呼んでないから、取引先の人たちは披露宴から出席なんだ。 「明日、尚くんのこと……多分かっこよすぎてちゃんと見れないと思う」 「僕もきっと直視出来ない……」 チャペルの確認を終えて部屋に戻ろうとすると、尚くんが腕を引っ張ってきた。 「ちょっ、どうしたの?」 「……梨世ちゃん」 「ん?」 「好き」 「っ、な」 その『好き』は、一瞬にして空間を支配した。 ガラス張りの壁一面には、夜の真っ黒な海が見えている。その奥に、都会のビルのキラキラが瞬いていて、ミステリアスな雰囲気を作っている。 そんな風景に閉じ込められた私たちは、やっぱり世界にふたりしかいないみたいに感じるの。 「明日、キミは……僕と誓いのキスをする」 「うん、そうだね」 「キミは、どうしてそんなに余裕なの?」 「えっ」 尚くんが更に私の腕を引っ張り、私の手を自分の胸元にあてた。 すると彼の鼓動が……すごく早くなってるのがわかった。 「……僕ばっかりこんなになって、恥ずかしい。すっごく、ドキドキしてる。楽しみなのに、緊張して……苦しいよ」 「……余裕なわけないよ、私だって尚くんとの結婚式……すごく緊張してる」 「本当に……?」 「当たり前でしょ」 彼の胸元にあてた手を、彼の指に絡ませて手を繋ぐ。そのまま、明日の練習するみたいにチャペルの真ん中を歩く。 「ふふ、ありがとう梨世ちゃん」 「えっ?」 「僕と……同じ目線に合わせてくれて」 「合わせてるわけじゃないよ、最初から同じなんだよ」 そのままチャペルを出る頃には、彼の表情も柔らかく笑顔に戻っていた。
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