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もう、衝動が抑えられない。
彼にされるがままに、私はベッドの上で食べられる。
するとたちまちその空間は、噎せかえる程に、狂おしい程に甘い、ふたりのセカイになる。
「生きてる……って、思える、梨世ちゃんを抱くと……」
「……うんっ」
目の前にいるお互いを、触れて味わう度に血の通った同じイキモノだと実感出来る。
「……思い出すね、出逢った……日の、こと」
「ん、うん」
「……思い出すね、初めてっ、キスした日……」
尚くんのオハナシは、きっと次から次へと続く。
彼の見ている不思議な目線にも、慣れた。
彼の中にいる私も、理解できるようになった。
目に映るもの全てが、彼といると違った景色に見えると感じたのは……いつからだったかな。
「っ、痛い……」
明日は結婚式だと言うのに、歯形が胸元に次々についていくのを私は痛みに耐えながら受け取るしか出来ない。
今、彼の見ているセカイには私しかいないから。
「……心臓、食べたい」
「私も、食べられたい」
「食べたら、命ごと……僕のモノだよね」
「もうとっくに、尚くんのだよ」
「ふふ、嬉し……」
あれから、彼の中の私コレクションの数々は増えていく一方で、今、社長室の『ツアー』は夏バージョンの私だと言うことをこないだ教えてもらった。
内緒の生首写真集も、そろそろVol.2を作りたいとも言ってた。
こないだは、会社でわざわざ私のコップを使ってコーヒーを飲んでたんだって。
こうして行きすぎた愛を受け止めることにさえ、幸せだと感じてしまうの。
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