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「梨世ちゃん……背中、綺麗だね」
「えっ……?」
「羽が、生えてそう」
「な、に」
終わって息を整える私を後ろからゆっくり抱き締めながら、尚くんは唇が触れるだけのキスを背中に落とした。
「毎日見てるけど、今日は一段と綺麗」
「……なんでだろね」
「花嫁さんだから、かな」
「……なんか、嬉しい」
尚くんの背中も、更に治療した傷痕が皮膚と馴染んで綺麗になってた。
青白いほど、真っ白な彼の素肌はやっぱりビスクドールのように見えるから……彼こそこの世の人に思えなくて、羽をつけて飛んで行ってしまいそうだよ。
「尚くんこそ、飛んで行ったりしちゃだめだよ」
「行くわけないよ、一生キミのとなりにいる」
向き合い直して、小さくついばむようなキスをして彼の腕の中で目を閉じる。
彼の匂いに包まれると、幸せでいつだって涙腺が緩みがちになる。
「あ、そういえばさ……橘さんと三枝さんのところの御曹司……椿くんだっけ、その人も来月結婚式だって」
「そうなんだ、素敵だね!! 三枝さんと……春乃さんも入籍、したもんね」
「……春乃には、幸せになってほしいから本当に嬉しい」
「うん!」
「でも、梨世ちゃんが春乃を受け入れてくれたのも本当に嬉しかった」
「えへへ、尚くんが愛した人を……嫌えるわけないよ、それに、春乃さん程の素敵な女性はなかなか知らないや」
昔の私は、絆くんに近づいた、当時何も知らない映美さんの存在を許すことなんてきっと出来なかった。
だけどこうしてたくさん経験して、周りの幸せも素直に喜べるようになったことは……私自身の大きな変化でもあるよ。
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