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「尚くん、かっこよすぎる……」
「梨世ちゃんも……破壊力やばい、僕……ちょっと見れないかもしれない」
「見れないのはっ……困る」
「はいはい、おふたりさん……家族写真撮るって」
禅さんが『家族写真』、と言ってくれた言葉に幸せな気持ちがあふれてきた。
家族、ってなんて幸せな言葉なんだろう。
カメラマンはジュピプロの仲間にお願いしたの。
そして……
「梨世さん、素敵ね」
「紗柚ちゃん、ありがとう」
披露宴の時は席は離れるけれど、この子も私の義妹、つまり……『家族』になるから。
一緒に写真を撮るの。だってね、こないだの禅さんと紗柚ちゃんご家族とのお食事会、大成功だったみたいなの。
このふたりの幸せな未来だって、そう遠くはないよ。
紗柚ちゃんがしっかり大学を卒業して、スピカの拠点をロスに移したら……きっとすぐにふたりは一緒になるはずだから。
「木暮さん……こんな大事な写真、俺が撮ってしまっていいんですか」
一瞬、不安そうな顔をするカメラマンさんに尚くんが優しく声をかけてあげる。
「いいんだよ、お前は……僕が本当に信頼しているカメラマンだから。僕がずっと一緒に仕事をしてきて、お前の腕は僕が一番知ってる、任せたよ」
「ありがとうございます!!!」
ーーパシャっ
私の大好きなカメラのシャッター音が鳴り響く。
だけど、今の私はモデルの木暮梨世じゃない。
私自身の、『木暮梨世』という人間の……1枚の、記録、だから。
『木暮尚』という人間の、たった一人の妻である、ただそれだけだから。
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