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『病めるときも健やかなるときも――』
「「はい、誓います」」
ふたりして、揺らがない決意を皆の前で証明すると、指輪の交換と誓いのキスが待っていた。
「!」
「……ふふ、素敵でしょ」
だけど、まさか。
こんなサプライズ――やめてよ、尚くん。
嬉しくて、どうにかなっちゃいそう。
「……うん、ちょうどいい、ぴったりだね」
「……っ」
私の左手の薬指に通された綺麗なダイヤが散りばめられた指輪は、尚くんの……手作りなんだって。
いつしか私がR.iseの指輪のコレクションを見て、『このリボンの部分が、蝶々のモチーフだったら私と尚くんが最初につけた、蛇と蝶々の指輪に似てて素敵だな』と言ったことがあった。
尚くんは、それを作ってくれた。
ひそひそ声でそれを伝えた彼は、満足そうな顔をして私のベールをふわりと捲る。
さっきまで布越しに感じていた彼の顔を直接見れて、心臓がトクン、と甘く震えた。
『誓いのキスを』
「……愛してる」
私の肩を優しく掴みながら、尚くんの顔が傾いて私の唇に柔らかく、彼の唇がふわりと触れた。
幸せで、涙がじんわり瞳を濡らして視界が滲んだ。
キスなんて、何百回ってきっとしてきたけど。
今日のキスは、一生忘れないと思うの。
唇が離れても余韻が消えることは全くなくて、ずっと残る、幸せな熱。
――パチパチ
と、たくさんの拍手に包まれながら、私と尚くんは扉の方に向かって歩き出す。
太陽が反射してキラキラ光って吸い込まれそうな海の青の中を、私たちは祝福のフラワーシャワーと一緒にたくさんのシャッター音に包まれながら先に進んだ。
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