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盛大な拍手と鳴り響く音楽。
大好きなシャッター。
その煌めきに包まれながら、私たちは披露宴会場に入場した。
「……わぁ」
「……来て欲しかった人、みんな来てくれてるみたいだね」
「……取材と言うか、カメラがすごい」
皆の近くを練り歩きながら新郎新婦の席へとたどり着く。
私は緊張しちゃって皆に愛想よく手を振ったりが出来なくてそこは尚くんにお任せする。
「梨世ちゃん、ほら笑って」
仕事じゃない、プライベートをこんなに撮られてるってあまりないからどうしても話しかけられたらどうしようって思っちゃう。
「だって、写真撮るだけならいいけど……マイク向けられたら無理だもん」
「ふふ、可愛い」
尚くんのファンサービスで彼の甘い顔はたくさんカメラに写してもらってた。
私も、今日の写真たくさん欲しいな。
――「本日はご多忙のところ、僕たちのためにお集まり頂きまして誠にありがとうございます――」
尚くんのさすが社長だな、と感じるしっかりしたウェルカムスピーチで始まる披露宴は、式からの人に加えて、取引先の人もたくさん来てるから意外に気を抜けないの。
でも、蘭華さんと計画してるサプライズは絶対に成功させなきゃ。
美味しいお食事になかなか手をつける暇もなく、写真を撮ったり話したり……
私がわたわた慌てていると、余裕の尚くんは「梨世ちゃんも一息つきなよ」って、ジュースのグラスを渡してくれたり。
なんだかんだ言って、彼はすごく気にかけてくれる。
尚くんの周りにはたくさん人がいて、こうして彼が慕われていることに、私はいつからか嫉妬じゃないあったかい気持ちを持てるようになった。
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