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「尚くんてやっぱり、人を寄せ付ける不思議な魅力があるよね」
「それはね、キミがとなりにいるから僕がそういう人になれるんだよ」
「っ……」
さらっと、嬉しいことを言われてる。
それすらも彼は当たり前のように口にするから、かっこよすぎてタチが悪い。
私たち、どんな風に見られてるのかな。
仲良し夫婦に見えているよね。
ケーキカットもファーストバイトも、楽しく出来た。尚くんがフルーツ入りは食べられないからって、苺の代わりにたくさんの食べれるお花でケーキは装飾した。
何枚も、シャッター音が聞こえて。
その度に私は撮られるのが好きだと再認識する。
「……梨世ちゃん、結婚式、楽しいね」
「うんっ」
尚くんが私だけに聞こえる声でそう言ってくれたの。私の隣にいるこの人のガラス玉のような瞳には、この光景はどんな風に見えているのかな。
「梨世ちゃん、先にお色直し行っておいで」
「わかった!」
新婦の方が時間がかかるからって、お色直しに中座するときに一緒に歩いてくれるのは、普通はあまりないけれど、ゆうなんとまりりんのふたり。
3人並んで歩くこと、3人並んで撮られること、実はCM以外は初めてだったりする。
「梨世ちゃん、綺麗ね」
「ほらほら、笑顔振り撒きなよ!」
「ふ、ふたりとも、慣れすぎだよ」
「場数踏んでるからね」
「ショーだと思えばいいのに、緊張しないで」
「ひえぇ」
私が扉へ向かうとき、そのドレスの後ろ姿を温かな眼差しで尚くんが見つめてくれていた。
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