16 Happy Wedding!

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「…………お願い、あの後ろ姿、カメラに残して」 「…………はい!」 ――パシャ…………… 梨世ちゃんが、扉の方に向かう姿が天使みたいだった。 やっぱり羽が生えてるんじゃないかって錯覚して。 僕は何度かまばたきをした。 綺麗すぎて、苦しくなったよ。 あぁ、この人が自分の妻なんだ。 この人と自分の子が、お腹にいるんだ。 そういうのを改めて自覚したら胸がじーんと熱くなるのがわかって、僕は世界で一番の幸せ者だと思うほかなかったよ。 ――パシャ…… 「……ちょっと、僕じゃなくて梨世ちゃん撮って」 「すいません……あまりにも社長の表情が温かくて、梨世さんを見つめる目線が美しくて、撮りたくなってしまいました」 「えっ……」 僕の……表情? 「……本当に、愛してらっしゃるんだなぁって思いましたよ」 「……ふふ。お前、いい仕事するようになったね」 雑誌で見た一番最初のキミより…… 何倍も、何百倍も今のキミが好きだ。 毎日毎日、好きが増えていくよ。 梨世ちゃん。 可愛くて、優しくて、ちょっとおバカで。 綺麗で、真面目で、素直で、強い。 僕は……そんなキミが毎日笑っていられるセカイを作るよ。 だからこれからも美味しいご飯作って、モデルさんして、可愛いママになって僕の隣で生きてください。 「――それでは、新郎も一度中座致します」 僕は扉まで一緒に歩く人に兄さんを指名した。 兄さんは驚きながらも嬉しがって僕の目の前に来て、ハグをして、握手をしてくれた。
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