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『小暮奈緒ちゃん、覚えてる?』
「……Re:グループの……前社長?」
『この度、君が結婚すると聞いて、九条さんとあなたのお嫁さんが私に声をかけてくれたからね――』
スクリーンに写ったのは、尚くんが奈緒ちゃんのときにお世話になった、今は表舞台から離れている、昔のRe :グループの社長。
『君に感化されて、この業界に入った者や、今まで君にお世話になった人たちからお祝いの言葉を頂いているよ、あ、今日会場に来てる人からも、あるかもね』
「う、そ……」
スクリーンに釘付けになる尚くんの横顔は、驚きに満ちていた。
蘭華さんとママと、協力して尚くんが仕事行ってる間にいろんな人に会いに行ったんだよね。今日ここにいる人からも、何人かメッセージをもらっているよ。
絆くんが、奈緒ちゃん騒動で尚くんにしてあげたことの真似っぽくなっちゃったけど。
「……社長、結婚式、来れないからって」
この社長は結婚式にご招待したのだけど。
忙しすぎて難しい、と秘書の方から伺った。
すごく残念そうにしていたって。
『で、ではここでっ、ラノンの本社の人の、えっと……皆さまから!メッセージをもらっています!』
インタビューをしに行った私の緊張度合いが半端なくて恥ずかしすぎるけど、会場の皆は笑って見ててくれている。
そんな映像を見たあと、尚くんの方へ目をやると彼は目を潤ませてまばたきも惜しそうに、このスクリーンに映る、お世話になった数々の人たちをじっと見つめていた。
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