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『奈緒ちゃんの、いや……木暮尚さんのご結婚を心よりお祝い申し上げます。末永く幸せな家庭を築いて行ってください』
その一言で、ムービーは終わっていた。
のだけど。
「尚くん、嘘ついててごめん! 許してね、サプライズなの!」
「えっ!?」
ムービーが終わるなり梨世ちゃんの声が会場に響き渡ると、突如バタン、と扉が開いた。
そこに見えたのは、まさかの今……ムービーに映っていた人。
「ス、スペシャールゲスト、ですっ、Re:グループの前社長であり、現在の名誉会長……犀川聖様ですっ」
「嘘っ……」
――――……
――……
1ヶ月前……
「……蘭華さん、つかぬことをお伺いします!」
「はい、梨世ちゃんなんでしょう?」
「尚くんをオーディションに受からせてくれた人は、一体誰なんですか?」
「いい質問ね~」
私は尚くんに何かサプライズをしたくて、蘭華さんに相談していた。尚くんがびっくりするような人からムービーでメッセージをもらったら嬉しいんじゃないかな、って思ったの。
「尚はまずそんなに大切な人なら式に呼ぶわね……」
「そうですよね、でもそういえば尚くんの出した招待状、ひとりだけ欠席になっていたんです」
「ん? だぁれ?」
「この人……漢字、読めないので誰だかさっぱりわかりません」
そう言って、蘭華さんにその欠席の招待状の返信を見せた。
「これよ、この人!!」
「へっ?」
『犀川聖』
名前のイメージからしてお星さまっぽい人だと思ったのだけど、この人が超重要人物だったらしい。
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