346人が本棚に入れています
本棚に追加
/541ページ
――――……
――……
そして――
「木暮尚さん、改めましてご結婚おめでとうございます」
「……さ、犀川、さんっ……」
「立派になったね」
尚くんの前にサプライズで犀川さんが登場したときには彼はもう既に号泣していた。
たくさんの人々からの祝福のメッセージに、恩人からの直接のお祝いの言葉……きっと彼の中で喜びが追いつかなくて、頑張って受け止めようとしてるのがわかるよ。
その証に……イグジスの綺麗な群青のハンカチが彼の涙で濡れている。
私はそんな尚くんが隣で喜んでくれたことが嬉しくてそれに涙が溢れてきてしまう。
会場の皆様もたくさんの拍手で祝福してくれる。
「……あぁ、もう……泣いちゃったよう……皆様、見苦しい姿を失礼しました。犀川様は僕を奈緒ちゃんにしてくださった恩人です。僕が……今こうして皆様に祝福して頂けること、犀川様のお力添えがなければ実現しませんでした」
「奈緒ちゃん、大袈裟だよ。私は君の幸せを、影ながらずっと応援しているよ」
「……ありがとうございます。蘭華さんも、梨世ちゃんも皆様も……ありがとう」
感動の再会をこの場で果たした彼らは深く頭を下げて自席に戻る。
私は親族席に少し余裕をもたせておいた。
蘭華さんが犀川さんを上手く席にご案内してくれている。
もう少しで披露宴も終わっちゃうけど、多忙の中、駆けつけてくださった彼にはあと少しの時間存分に楽しんでほしいの。
――「新婦、梨世さんからのサプライズ、新郎の尚さんもとても喜んでくださいました、それではただいまより、新郎新婦から花束贈呈と、新婦梨世さんより、お母様にお手紙がございます――」
最初のコメントを投稿しよう!