16 Happy Wedding!

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――「……あっと言う間だったね」 「ね」 結婚式の、余韻にひたる。 誰もいなくなった会場を見渡す。 大きな二次会はしないの。 ゆっくり、尚くんとふたりの時間を過ごしたい。 ママと蘭華さんと禅さんとシローさんは、Az barを貸しきりにしてちょっとした内輪の二次会をするんだって。 「梨世ちゃん……抱き締めていい?」 「えっ、急にどうし……」 すると、突然。 私がそう言い終わるか終わらないかで、尚くんがプラネタリウム色のドレスごと私をきつく抱き締めた。 周りの音が、一瞬にして消えて―― 「……梨世ちゃんっ」 聞こえるのは、耳元に私の大好きな彼の声と。 感じるのは、私の大好きな彼の匂い。 「……今日、ありがとう。ううん、今日だけじゃない。時間をかけて僕のためにあんな素敵なサプライズもありがとう。僕を愛してくれてありがとう。 ……僕と、結婚してくれて…………ありがとう」 「…………っ、尚く」 声が、出せなかった。 涙が、尚くんの胸を濡らすほど止まらなくて、息も出来ないほど満たされてる。 遠くから、お台場の海の……波の音が少し聞こえる気がする。 静けさに、全てを奪われて。 残るのは研ぎ澄まされた感覚だけ。 「愛してる」 「っ、私も……愛してる」 しばらく抱き締め合いながら、お互いの鼓動を確かめあった。 今こうして生きていること、出逢えたこと、赤ちゃんがいること……全てを奇跡だと感じたの。 やっぱり……いつだって甘い甘いふたりのセカイ。
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