17 飛躍

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――「おはようございます!」 「あ、梨世ちゃん、結婚式ぶり!!」 「おはよう、梨世ちゃん」 今日私は、大きくなったお腹を皆に少し心配されながら、Re:グループ新人ファッションショーSummerのゲスト出演のための打ち合わせをしに、久しぶりにスタジオに出勤したの。 あの、私のファッションショーから早半年以上、尚くんの公開プロポーズやR.iseの誕生からも、それだけ経ったってことだね。 「尚さん、梨世ちゃん大丈夫なの?」 「いや、打ち合わせ終わったらすぐに僕が家まで送るよ、あ、ちょうどよかった」 「え?」 「紗柚ちゃん、おはよう。今度はキミが出るファッションショーだよ。キミはモデルも出来るアイドルなんだから、しっかりモデルのお仕事もしてもらわなくちゃね」 「木暮社長、おはようございます。私……モデルの仕事なんて初めてですけど」 「ふふ。今日はとてもいいセンパイがいるんだから、たくさんコツを伝授してもらうんだよ」 「ねぇ、尚くんとてもいいセンパイって?」 「キミに決まってるじゃないか梨世ちゃん」 「ふぁ」 き、聞いてない!! 私は打ち合わせって言ってもゲスト出演だから当日はニコニコしてるだけなはずだしっ、紗柚ちゃんに伝授!?  ふ、ふぇぇ………… 私がわたわた慌てているのに、となりで微笑むだけの尚くんと、微妙な表情で私を見る紗柚ちゃんの冷ややかな視線が痛いよ。 私を認めてくれてるのは知ってるけど、やっぱりまだまだ頼りないとは思われてるんだろうなぁ。
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