20 同じイキモノ

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 そうこうしているうちに、今度は俺の元に紗柚から電話がかかってきた。きっと……彼女は責任を感じているだろう。 ――「禅っ……」 「紗柚、大丈夫か」 ――「私っ……何も出来なかった、私の使用人たちも、連れていっても役に立たなかった」 「お前のせいじゃない」 ――「梨世さんっ……お腹に、赤ちゃん……いるから……どうしよう、どうしようっ」 「……」 電話の向こうで泣きじゃくる紗柚の後ろから、いろいろな声が聞こえる。病院にたくさんの人が集まっているんだろう。 尚は、いつそっちにつくだろうか。 梨世さんの状態はどうだろうか。 俺は何も出来ない悔しさでいっぱいだった。 壁にかかっている時計の秒針が、いつもより大きな音で時を刻む気がして、俺は部屋を移動した。 そこの部屋では火野がソファに座って頭を抱えていた。こぶしをぎゅっと握りしめたそこから、わなわなと震えているようだった。 「紗柚、またなんかあったら電話して」 ――「うんっ、うん…………」 俺は電話を切って火野の傍に行くと、彼はやりきれない表情でなんだよ、と俺に突っかかってきたから、俺は尚を連れてきてごめんとしか言えなかった。 前に、尚に火野と梨世さんの過去を聞いたことがあった。尚は「絆にも関係があるから」と詳しくは教えてもらえないまま終わってしまった。 ふたりの間には、やっぱり尚とのとは違う、何か見えない糸のようなもので繋がっている気がした。
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