351人が本棚に入れています
本棚に追加
空を仰ぐと、どこまでも広がる青だった。
私の押したシャッターは、その青まで切り取った。
その青は未来を映す色だった。
「尚くん!」
「なぁに?」
「愛してるよ、ずーっと、ずっと!」
「僕もだよ!」
子どもみたいに緑の葉っぱの上ではしゃいだ。
自然の匂いを胸いっぱいに吸い込んで、今日もまた、生きていることに感謝した。
「ママ、ちょうちょ!」
「うわぁっ」
「あははっ、梨世ちゃんめちゃびびってる」
「ママ、ちょうちょ」
「く、くれるの? ママ虫触れないなー……」
「真凪、パパにそれちょーだい」
「あい!」
まなが掴んでいた白い蝶々が、手を離した途端尚くんの頭に止まった。
「ふ、ふふ……ふふふ」
「……尚くん、どうしたの」
「梨世ちゃんの指輪のモチーフが僕の髪飾りに……」
「へ」
そこを繋げてくるとは思わなくて間抜けな声を出してしまう私と、靴を泥だらけにしてその場で遊び続けるまな。
そして……どこまでも相変わらずな、尚くん。
「……梨世」
「ん?」
「……今日も、綺麗だね」
「!」
これからも、きっとこの人に溺れるような恋をし続け、そしてそれは愛になり続ける。
照れながらもそう確信した私に、最愛の彼がくれた小さく触れるだけの優しいキスは、
キラキラ輝く彼のシルバーを照らす、あったかい太陽の味がした――
【了】
※長い間ありがとうございました。
次のページより、絵とあとがきがございます。
最初のコメントを投稿しよう!