3 僕の梨世ちゃんの誕生日だよ梨世ちゃん可愛い可愛い可愛……

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――「尚さん、書類上下逆さまだよ」 「ふふ」 「尚ぽん、コーヒーそれもう入ってないよ」 「ふふ」 「尚っ!」 パシッ、と渇いた音が部屋中に響く。 「痛いっ……もぉ、頭叩かないでよ、禿げるでしょ」 「禿げねーよ、お前浮わつきすぎなんだよ、はい、次俺とプレスさんと会議だろ、行くぞ」 撮影の合間に2階のソファで少し休憩していると、廊下を尚くんが絆くんに引っ張られて会議室に向かって歩いているのが見えた。 「……尚くん変なの」 「……ふふ、その声は梨世ちゃんだね、僕は会議だから行ってくるね」 「!?」 いや、今絶対聞こえてないはずなんだけど! 私の独り言だったし、尚くんまで5メートルくらい距離あるし……やばい、耳までオカシくなっちゃったの?あの人…… 「……変態」 「!」 「あ、反応した」 私の声はこの距離でも彼に聞こえていることがわかってゾッとした。 なのにこれも彼からの濃すぎるほどの愛だと知っているから不思議と受け入れられちゃうの。 (今日は仕事終わったらすぐ帰るからね) もしかして、今日から明日の誕生日のこと考えてくれてるのかな。 だとしたらすごく嬉しいな。 プレスさんが現れた途端に急に社長モードに戻った彼の後ろ姿を見ながら微笑んで、今日の帰りを楽しみに待つことにしたよ。
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