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「……1泊しか出来ないから、近いとこでごめんね?」
「ううんっ! すごく嬉しいっ!!」
温泉かぁ、尚くんと旅行なんて初めて。
なんかもう、幸せ過ぎてどうしたらいいの?
でも――
「尚くん……背中の傷は?」
「あぁ、それは大丈夫」
「痛くならないか心配……それに、人に見られたら嫌じゃない?」
本当に大丈夫なのかな?
今も時々痛むのに……私のために自分が無理をしてほしくないよ。
「気にしないで、僕にとっては周りの目なんてどうでもいいんだよ。キミが幸せな誕生日を迎えてくれるならそれが僕の幸せ」
「……尚くん」
びっくりするぐらいの彼の心の広さに涙が出てきそう。
すると尚くんはベッドの下からガサゴソと私の旅行鞄を取り出した。
「じゃあ早速行こ?」
「へっ、その荷物……」
「僕がキミの服を念入りに選びました。あ、ちょっとエロいベビードールも入れておいたから、ふふ」
「!?」
どうして既にあるの……?
「尚くん……? それいつ準備してたの?」
「昨日梨世ちゃんが寝ている間だよ」
「私の下着、漁ったの?」
「漁るなんてひどいなぁ、ちょっと見て幸せな気分になってただけ」
「っ、変態!!!」
私は、尚くんの変態行動が日に日にエスカレートしていくことに若干の不安を抱きながら彼の言うままに、その荷物を持って東京駅へとタクシーを走らせるのでした。
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