3 僕の梨世ちゃんの誕生日だよ梨世ちゃん可愛い可愛い可愛……

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――「尚くんと電車っぽい乗り物に乗るの初めて!」 「そうだね。僕たち目立ってる、ふふ」 東京駅に着くなり、サングラスをかけた私たちふたりは髪の色がお揃いだし、雰囲気ですぐにバレてしまう。 新幹線の車内に入り、席に座ると尚くんは私に覆い被さるように抱き締めてきた。 「ストップっ!」 「なんで、膝枕してよ」 「!?」 「僕、赤ちゃんと近づいてみたい」 「……尚くん?」 座っている私のお腹に猫みたいにすりすりくっついてくる彼は、赤ちゃんが気になっているみたいで。 耳を近づけてみたり触ったりいろいろしている。 「まだちっちゃいから多分何もわからないよ?」 「いいんだ、中にいるのは間違いないでしょ。ママとパパと赤ちゃんの3人で旅行だね」 「あ……」 尚くんは、ちゃんとパパとしての自覚が既にあるんだと思うと嬉しくて、でも少しだけ寂しくなった。 「……ふたりの時間も終わっちゃうのかな」 「梨世ちゃん……?」 「ちょっとだけ、寂しくなっちゃって」 「何言ってんの。ふたりのセカイは永遠でしょ。赤ちゃんとの家族のセカイはまた別のところにあるの。僕と梨世ちゃんはずっと同じイキモノで、一生変わらない夫婦だよ」 「……そうだねっ、尚くん……ありがと」 外の風景が、都会の夜景から夜の山々に変わっていくのを見ながら、その幸せにたくさん浸った。
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