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「――あ、0時」
「……ぁっ」
「僕の愛する梨世ちゃん……22歳のお誕生日、おめでとう」
「んんっ」
皆が見ているのに、突然噛みつくようなキスをされた。
ウィスキーの少し苦くて甘い芳香が、私の舌に蛇のように絡み付く尚くんの舌を伝わって……口の中を侵食する。
「あっ……ん」
「……梨世、愛してる」
唇を離したら、お互いの味すら名残惜しくて。
間髪入れずにまた顔を引き寄せて、求めあった。
「だっめ……尚くん、皆……見てる」
「見てないよ……どうして周りを気にする余裕があるの? 僕だけに感じていればいいのに」
「んっ、ん……」
キスの後の尚くんの妖しい笑顔に酔いしれて、しばらくその場から動けないほどだったの。
そうしたら、向こうからサプライズのケーキがやって来て、私の為にミニライブが始まった。
「わぁ!」
「梨世嬢、ハッピーバースデー!!」
「ありがとうございますっ!!」
――ピロン
『梨世ちゃんお誕生日おめでとう!今頃尚ぽんとラブラブ旅行かな? 楽しんでね!!』
まりりんやゆうなんからのメッセージや、ファンの人からのブログコメントに、絆くんから送られてきた動画はAZ barで蘭華さんとシローさんと春乃さんと映美さんと歌ってくれているやつ。
「こんなにたくさんの人にお祝いされるの初めて!」
「ふふ、梨世ちゃん良かったね」
なんだかね。
尚くんのおかげで、今までで一番幸せな誕生日になりそうな予感がしたの。
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