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「尚くん、ありがとう……」
「何言ってんの、これからでしょ」
「えへへ」
外が少しずつ白く明るくなってきて、尚くんと私は他のお客さんと絡んだりしながら話が尽きることなくずっと楽しんでいた。
ビビりの私も、最近は尚くんのおかげで少しずつ社交性が出てきたような気がする。
「……」
「梨世ちゃん、眠いかな」
「ちょっと……」
「いいよ、寄りかかってて」
尚くんの肩にもたれると、彼の匂いに包まれて幸せな気分になる。
本当に楽しかったな、今こんなに楽しいなんて今日これからどうなるんだろ。
ウキウキしていて気づいたらすっかり朝を迎えてた。
「ママさん、ありがとうございました!」
「すごく楽しかったです!!」
「いいのよ、蘭華によろしくね」
不思議なご縁に感謝しながら皆さんにたくさんお礼をして、タクシーに乗り込む。
次の目的地は待ちに待った旅館!
――――……
――……
――「木暮さま、いらっしゃいませ。お待ちしておりました」
「わぁ……」
バルから旅館まではものの10分くらいだった。
朝からチェックインOKだったそこは、木の温もりが感じられるものすごく高級そうな佇まいで。
所々雪が積もっていて、場所柄東京より寒いけどそんな寒さも感じさせないほど、温かく女将さんたちに迎えられた。
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