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「早速お部屋にご案内いたします」
「すみません、1泊ですけどよろしくお願いします」
お部屋に案内されると、ふたりじゃとても余るくらいの広さの素敵な空間。
「素敵……!」
「あちらの露天風呂はいつでもご利用くださいね」
しかもお部屋には本格的な源泉の露天風呂がくっついているタイプで、そこからは夜には幻想的な景色が見れるみたい。
お食事はなんと、尚くんも食べられるようにしてくれたらしい!
旅館の人……歴代のお客様で多分、一番無理難題なメニュー変更をよくぞ引き受けてくれたね。
「では、ごゆっくりお過ごしくださいませ」
女将さんが出ていくと、尚くんはまたすぐに私に抱きついてきた。
「!」
「梨世ちゃん、お誕生日おめでとうっ」
「あ、ありがとう」
「可愛い可愛い可愛い大好きっ」
「……私も尚くん大好きだよ」
尚くんの胸に顔をうずめると、待ってましたとばかりに髪をくしゃくしゃに触られる。
「尚くん、私……そいえば髪染められなくなっちゃった」
「佑子さんに相談してみたら?」
「そうする、んでもし妊娠中でも大丈夫なのがあったら……髪、シルバーにしたい」
「えっ?」
「尚くんともっともっと同じイキモノになりたい」
「……梨世ちゃん」
「言ったでしょ、欲しいものは尚くんだって」
「!」
見上げると、照れて真っ赤になった尚くんが私を見つめていた。
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