4 僕と知らない人

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「――ひゅぅ……」 終わるまで息が、出来なかった。 尚くんに突っ込まれたあげく、キスで口を塞がれていたから。 「はぁっ……梨世ちゃん、今日も最高だった」 「……っはぁ」 尚くん、また身体が引き締まってる気がする。 腰のラインとか、見てるだけで失神しそう。 彫刻みたい……綺麗。 「……ぷに」 「な、ちょっ、尚くん……」 「赤ちゃん産まれたら、すぐに体型戻そうね? 今はふにふに梨世ちゃんも許してあげる」 「だ、だって赤ちゃんの分まで食べてるから食欲止まらないんだもん……」 確かに、3キロ太ってそれは足についてしまった。 尚くんが怒るのも無理ないか。 「まぁ、セクシーなカラダは梨世ちゃんの魅力だからね、僕、元々痩せすぎは好きじゃないから」 「映美さんぐらい痩せてるのは?」 「冥賀社長は心配になる……あの人は痩せすぎでしょ」 「妊婦さんなのに……ちゃんと食べてるかなぁ」 「酒とタバコがご飯みたいな人だったらしいからね」 「けっこう荒くれてるよね」 「ふふ、梨世ちゃんが純粋すぎるんだよ」 「尚くんは、タバコは?」 「僕は吸ったことないし、これからも吸わない」 「私も同じだよ、絆くんは吸ってたけど」 「……絆も見かけによらず中身とのギャップがあるよね」 「でも、尚くん絆くんのこと好きだよね」 「……さぁ?」 プラネタリウムの天井を仰ぎながら、散々果てた私たちは寝る前にゆっくりいろんな話をする。 これから起きることは、全部大丈夫って言い聞かせるみたいな……束の間の休息。
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