416人が本棚に入れています
本棚に追加
「お、お世話になってます。今次さんの代理で参りました、週刊アンダーハートの小見と申しますが・・」
『ああっ、ハイ、今開けますっ!』
言い終わるとともにガチャーンと激しく受話器を置く音がして、直後目の前のドアノブがガチャガチャと震える。
壊れてしまいそうな激しさなのに、やがてドアがゆっくりゆっくり控えめに開き始めた。
こ、これは警戒なのか緊張されてるのか?
異常な事態にこっちも戸惑うけど、とりあえず相手が現れる前に笑顔を作らねば。
無理やり口角を上げたその時、白く男性にしては細めの手首が見えた。
そこから続くグレーのパーカーに、小さなデジャブを感じ始め――
やがて、ハッキリと頭を震わせた。
「あっ!?」
「っ、さ、っきの・・!」
目があった瞬間、今までのはなんだったのかというくらいの勢いでドアが思いきり開く。
迎え出てくれたのは、ケーキを譲ってくれたあの男の人だった。
「えっと・・」
仕入れたばかりの情報では、確か27歳。
今ここにいるのは、どう見ても私より年下。
身長こそ若干高いけど、服装も素直さ丸だしの表情も、ハッキリ言って高校生でも通じる程だ。
本当に西奴さん本人なんだろうか?もしかしたら同居してる弟さんとかの可能性も・・
最初のコメントを投稿しよう!