epi.7

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そんな隠れた名作、むしろ隠したい名作を書いている作者は、なんとまだ若い男性だという。 西奴隷介・・さいどれいすけ。 明らかにペンネームだとわかる名前と滅多に載せない作者コメントからは、どんな人物かが全然予想できない。 編集と作家の関係って割と大変って言うし、失礼の無いようにしなきゃ・・ でも本能のままに生きる今次さんが担当してるって点では、そう気難しい人じゃないかな。 電車に揺られながら想像を巡らせていると、梶浦さんからメッセージが届いた。 『今日は代わりの人間が行くって連絡しといたよ』 さすが、気が利く。 向こうはファンの多い作家さん、ドアを開けていきなり見知らぬ相手だと警戒されるかもしれないもんね。 『綺麗な女の子だよって教えたら、すごいドキドキするって。変なことしないように言っといたからね』 あら、その反応、人見知りするタイプなんだろうか。 とにかく訪ねやすい環境を作ってくれた梶浦さんに感謝しつつ、電車を降りて今次さんが言った通りの道を行く。 朦朧としてたけど、ちゃんと合ってるのかな。 コンビニの手前って、撮影現場の時もそうだったっけ。 ごっちゃになってないことを祈って先に向かうと、あの時とは違う会社のコンビニが現われ、目の前には大きなマンションがあった。 良かった、間違いないみたい。 ホッとしながら信号待ちをする間、ふと自分の両手に目が行った。 ・・初めてだし、一応挨拶がてら差し入れがあった方が良いかな。
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