これよりっ団長辞めます!

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これよりっ団長辞めます!

小国同士の小競り合いから始まり、隣国を巻き込んでの大きな戦争も終わりかけていた。 その中でも最前線で戦う傭兵団が破竹の勢いで敵国の城まで攻め立てていた、傭兵団団長で紺色髪で珍しい紅い瞳を持つ男、その名をハーメルという。 「さてリヴェリア、一騎討ちで敵の戦意を持っていきなさい」 「わかった。団長がたてた計画を実行してくる」 リヴェリアと呼ばれたのは紫の長髪で戦場のせいか少しキツい目付きをした金色の瞳を持つ女性。 彼女は団長ハーメルの指示のもと猛烈な勢いで敵兵を蹴散らし、戦場となっている城の玉座の間にて名乗りを挙げる。 「私は鏖魔傭兵団副団長リヴェリアっ、貴方は騎士団長のロベルト殿とお見受けする。私と死合ってはくれまいか?」 「ソレはつまり一騎討ちということか?本来なら嘗められたものだと吐き捨てるだけだが。貴女方の傭兵団にはここまで追い詰められたのも事実」 敵の総大将である王の傍らに巨剣と大楯を構えた大柄な男が語る。 傍にいる王もまた騎士団長の言葉に苦い顔を浮かべていることをリヴェリアは鋭い視線を変えずに見ている。騎士団長ロベルトは一つ条件を出した。この絶対的不利な状況でだ。 しかし、一騎討ちには絶対的な自信を持つ騎士団長ロベルトはこう言った。 「俺が一騎討ちで勝った時、我らが王を逃がしてはくれまいか」と。 敵兵及び王もロベルトの自信を信じているのか止める言葉が上がらなかった。 「了解した」 短くリヴェリアが了承し、敵味方の兵がフロアの中心部を空ける。勿論剣を構えたままで。 それは奇襲に備えた為であるが、そのせいか少し時間がかかり傭兵団団長ハーメルが悠々と歩いて玉座の間に到着した頃、一騎討ちが始まろうとしていた。
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