写真喰み虫とは

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 写真喰み虫とは何か、皆さんご存じだろうか?  都市伝説の一つと数えられているのですが、どうやら実在するようです。  見かけたら必ず処分したほうがいいよ。物凄く怖い虫なんだから。  写真喰み虫というのは名前の通り、写真を食べるんです。はい、それはもうムシャムシャと。  え、紙を食べる虫ってたくさん存在するから、その内の一種じゃないかって? あ、古い本なんかがきちんと保存していないと穴だらけにしてしまうあれのことですよね。もちろんそういう虫もいますね、うんうん。  でも冷静に考えてください。植物や動物の皮脂でできた植物紙や羊皮紙でできた本や書類ならともかく、写真ですよ?  感光液がべったべたに塗られ、劣化しないように光沢加工までされてるフォト用紙を虫が食べると思いますか?  いや、条件によっては食べるかもしれませんが、虫だってもっと別の食べやすい物を先に食べるんじゃないでしょうかね。  閑話休題。とかく普通の虫とは違って、写真喰み虫は写真しか食べないんです。  しかも、写真が映っている紙を食べることなく、写真だけを食べるんです。本当ですよ?  あ、信じてないね。まあそりゃ普通信じられないよね。でも現実に見てみると、それはビックリする絵面なんですよ。  まるでキャンディの表面に描かれた絵を舐め取ったかのように写真の絵だけがなくなってるんです。虫喰い葉っぱみたいにね。  嫌なもんですよ。写真って残しておきたい思い出を絵に切り取って残しておくために撮るわけじゃないですか。  せっかくの思い出の光景が写真喰み虫のせいで穴だらけになってしまうなんて、悲しいじゃないですか。  それにね、この写真喰み虫は大事な写真を台無しにするだけじゃなくて、実害もあるんですよ。  どういう理屈でどういった原理なのか全く不明なのですが、写真喰み虫に写真を食われた人や物は、必ず不幸な目に遭うんです。  例えば壺の写真が食われると、その壺は近日中になぜか割れるんです。何の前触れもなく、ね。  景色の写真とかは影響がデカイですよね。海の写真が食われると、その海にゴミが大量に現れたり、魚の死骸が大量に浮いてきたりするんです。怖いですよね。  そして一番怖いことが、この写真喰み虫……人間にも害をもたらすんです。
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