スーツの男

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        プルルルルル…    ルルルル…     ガチャ     「はい、もしもし…あぁ、これはどうも」   スーツを着込んだ男が白い携帯を片手に抑揚の無い声で言葉を返す。 電話の相手は恐らく依頼人だろう。   「えぇ、依頼ですからちゃんとやってますよ…。…はは、こんなややこしい依頼はもう勘弁して頂きたいですね…。…えぇ、はい。それでは…」   プツッ…   白い携帯を閉じると男はそれをポケットに仕舞い込む。 わざと落とすような事はしなかったが。 どことなく不似合いなサングラスを指で押し上げ、男は時計を確認する。
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