スーツの男

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  優華は前の方で携帯を使い会話している男に目を向け足を止めた。 香織も自然と足を止める。   男は少し遠めで見ても若く、年齢でいうなら二十歳程度といったところだろう。 まだ学生のような雰囲気とは裏腹に、キッチリと着込まれた黒スーツにサングラスが何とも不釣り合いである。   「別に春秋春秋でも良いけどさ~ぁ…」 「ねぇ香織、あの人…」   未だに季節の事でぶつぶつ言っている香織の肩をぱしぱしと叩き小声で囁きながら男を指差す。 香織も優華の指の先を見て怪訝そうに眉を寄せた。    
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