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未来
夕方、マナは千春を羽田空港まで送っていった。
「ねー、エリちゃんを抱っこさせて」
「いいけど、11キロあるけど大丈夫?」
「じゃ、1瞬だけ」
マナはベビーカーからエリを抱き上げると千春に抱かせた。
千春は優しい眼差しでエリを見つめるとエリに話しかけた。
「エリちゃん、またね。
次は元気になってくるから遊びましょうね」
エリは真っ赤な口紅を差した千春の唇を見ていた。
「そっか、分かった」
千春はマナの方へ視線を向けると言った。
「今、エリちゃんは言葉を貯めてるのよ。
もうすぐ話し出すわ。
洪水のように溢れるくらいにね」
「そう言ってくれると嬉しい」
マナはエリを返してもらうと、ベビーカーに乗せた。
「だって、言葉を教えてるのが読解力がないマナなんだもん。
時間もかかるってねぇ」
「酷ぉーい。それが泊めてあげた人に言う台詞?」
マナは笑いながら唇を尖らせた。
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