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「だから、すぐだって。
ねー、エリちゃん」
“エリちゃん”の言葉に反応してエリは千春を見た。
「ほら、私を見てる、ちゃんと分かってる。
そうだ!
竜崎拓郎のセリフをエリちゃんに教えてあげてね。
絶対良い子に育つから」
「だから竜崎拓郎が誰か分からないって。
もう、誰よ?」
マナは竜崎拓郎が誰だか分からないが、ニックネームで書いてあるとは気が付いていた。
それさえ教えてくれればいいのに……
「エリちゃんの為なんだから、もう1度読めば。
そうよ、竜崎拓郎の言葉はキラキラ輝いてたわ。
あの小説は感じ取る話よ。
音楽も色彩も風の匂いも感情も……
そうだ!
また来るからその時までに竜崎拓郎が誰か宿題ね」
千春はにやけて言った。
「……って、えっ?
ここに来るって、また東南アジアに行くつもりなの?」
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