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まだ赤ん坊で、黒い産毛で覆われたデイビーは、悠子の哺乳瓶でチューチュー吸っていたり。
仔犬に成長したヤンチャなデイビーが、部屋を探検して物をそこらじゅうに散らかしてキョトンとしていたり。
かじって壊したボールを、デイビーが不思議そうに鼻で嗅いでいたり。
デイビーが初めての外散歩で、好奇心旺盛に通りすがりの猫に挨拶したり、青空を見上げて目を輝かせてたり、海岸で波と戯れたり、
アルバムの最後のページには、盲導犬の適性検査に合格したデイビーと、早速パートナーになったピアニスト駆け出し時代の厚司との2ショット写真が飾られていた。
「デイビー・・・素晴らしいパートナーと出逢えて幸せだったね・・・」
悠子は、目に涙を浮かべて染々と感慨に耽っていた。
「あれ?」
悠子は思った。
「デイビーと一緒に戯れてる白ラブ。何だったっけ?」
アルバムには、仔犬の白ラブが仔犬のデイビーをやたらと踏んだり噛みついたり、デイビー以上にヤンチャ振りを発揮していた写真がやたらと多かった。
中でも公園の泥遊びで泥を浴び過ぎてどちらも泥だらけになり、どちらがデイビーでどちらが白ラブなのか解らなくなった写真。
「この白ラブ・・・あれ?何だったっけ?」
悠子は戸棚からあらゆる資料やメモや書類を片っ端から、この白ラブのことを記したものを探しまくった。
「あれ?」
悠子は、目の前の一枚の新聞の切り抜きを見付けた。
「ああっ!!そうだ!!」
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