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『ドルジ』。デイビーとは同じ母犬から産まれた兄妹。
その母犬のマリーも、かつては盲導犬だった。
盲導犬引退後、数々産まれたの跡継ぎは悉く盲導犬を継いでいった由緒正しき血統・・・
しかし、ドルジは盲導犬の認定試験に何度も落ちた。
極端に『ヤンチャ』な正格が、災いしてしまったのだ。
結局、盲導犬になることを断念させられたドルジは、このまま悠子にはやはり盲導犬試験に不合格となりそのまま悠子が引き取り、今ではデイビーを初めとするパピーウォーカーの仔犬との遊び相手になっている『キアヌ』が居た。
・・・どうしよう・・・?と悩んでいるところに、ひとりの男性が悠子の家に来ていた。
「あの白ラブ・・・引き取りたいのですが・・・」
「はい?」
実は、男性は災害救助犬の訓練師だったのだ。
訓練師は、実はドルジの盲導犬認定試験を見学しており、ドルジの災害救助犬としての素質を見極めていたのだ。
訓練師に貰われたドルジは、過酷な災害救助犬の訓練を受け、1発でしかも満点で合格して・・・
悠子の新聞の切り抜きは、大地震での家の下敷きになって生埋めになった女の子を見付け出して、表彰されたことを報じる記事だった。
「ドルジ・・・ あんたって子は・・・何て素晴らしい犬だったの・・・?
ドルジは、盲導犬になれたデイビーの死を、今知っているのかなあ・・・
キャン!キャン!キャン!キャン!
ばうっ!ばうっ!ばうっ!ばうっ!
悠子の傍らには、新たなパピーウォーカーの仔犬の『アスカ』が手伝い犬のキアヌと戯れてていた。
外は雨が振りだしていた。
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