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『わしの『if』、わしの可能性の一、わしという同一存在ーーなどと語り宣うわしという名のナニカよ、確かにお前はわしじゃが同時に、確かに違う者よ。話せて楽しかったぞ、じゃが二度と姿を見せるな。はよ帰れ』
その暗闇の中で、違う世界の矛盾する自分自身と語り合う稀有な経験をした後、再び静寂に包まれるのを楽しむ。
それから更にどれほど経ったか。
目を開けようにも体を動かそうにも固定されている感覚がある。
状況を知るためにどうにかして動こうとした。ここは居心地が良かったがそれでもこのままでいることは耐えられなかった。
暫くそうやって体を動かそうとすると、何やら周囲に変化が起き始めたらしい。
(頭の方に違和感を感じるな)
そう思った瞬間、物凄い力で強制的に眩い世界に引きずり出された。
(なんというか頭が痛い)
目は未だに開かず瞼越しの光に慣れて目を開けようとした時、尻に衝撃が来た。
(痛!?なんだ!?)
足を持たれている感覚がある。体は急速に覚醒し、目をどうにか開き、口を開いて抗議しようと声を出す。
「あぎゃあ!おぎゃあ!んぎゃあぁぁぁぁあ!」
・・・に、日本語で話せぬ!?
もしやと思い、なんとか開いた目で周囲を見回すと、皺くちゃの婆さんと、綺麗だが幸薄そうな雰囲気を出す儚げな美少女がいた。
美少女はぐったりしており。今にも呼吸が止まりそうだ。
それを見て、先ほどの自分の声を思い出し、過去の創作物のパターンが脳裏に浮かんだ。
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