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だがおそらくそれでは間に合わない。
(冗談じゃ無いぞ!?生まれて満足そうな顔しやがって!そんな顔して死なせてたまるかってんだよ)
体の奥底から湧き上がる懐かしい感情の渦。それはわしの意思に応じて形になるような感覚がした。
(そう、そうだ、そのまま。わしの中でこれを練り上げる!わしの中に流れる正体不明の力、今すぐに言う事を聞け!わしの中から来てるんだろう!?さっさとしろ!さっさとーーーーさっさと『俺』の言う事を聞けってんだッ!)
それは全能感とでも呼ぶべき特殊な感覚だった。
かつて無いほどの違和感を以って『俺』はこの少女を助けたいという願いを込めてその違和感を少女にぶつけた。
どうしてそうしたかは知らない。だが、直感がいうのだ。
これでいいのだと、そう言ったのだ。
満足した俺は瞼が落ちて来ていることに気がついた。
(ああ疲れたのか。まあ産まれたばかりだしな。しゃあないね)
俺はそこで意識を失った。
次に目が覚めた時、そこには心配そうな目をした若い青年と、俺を見て笑っている初老の男女が立っており、横には俺を産んだ少女が微笑んでいた。
そこで俺は4人を見て、改めて転生したことを実感した。
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