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世界
俺は俺を囲って見つめてくる4人の視線に耐えられず、とりあえず泣きわめくことにした。
「おぎゃあああああああッ!おぎゃああぁぁぁあああ!」
いきなり泣き始めたことで青年はオロオロし、爺さんはニッコニコしている。婆さんは走って何処かへと行ってしまい、俺は母親である少女に抱きしめられる形であやされる事になった。
「まあまあ落ち着いて。大丈夫だよ。よしよし」
相変わらず言葉がわからず何を言っているのか理解できないが、あやそうとしてくれているのは分かったので泣き止む事にした。
しかし、この母親、俺が意識を失う前は死にかけていた気がするのだが何でこんな元気になっているんだろうか。
そんな俺の疑問は戻って来た婆さんの行動で理解させられる事になる。
「貴方、あやすための道具を持って来ましたよ」
「いや大丈夫だよセリナ。泣き止んだぞ」
「あら、そうなのですか?残念です。たくさん持って来たのに」
何やら沢山の玩具らしき物を宙に浮かせて持ってきた婆さんを俺は一瞬スルーしてしまった。
だが二度見して確認し、明らかに人の手や台車を使わずに持ってきたその状況に、俺は前世の創作物の王道的な展開を体感した。
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