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大往生
いい人生だった。
今年で112歳になる1人の老人は内心呟く。
彼の周囲には息子夫婦から孫夫婦、曾孫、そして随分と減った友人達や、ペット達がいる。
最期に看取ってくれる者達までいてくれる。
ずっと平凡だった人生だが、この人生に後悔はそんなにない。
最近はVRだったりARだったりといったゲーム技術から始まり、日常生活も半世紀前までとは違い、変化した。
プレイしてみて楽しんだりしたし、仮想空間の中で時間を早めて、さらに疲れない為、仮想世界の中で様々な作品を見返したりして満喫していた。
それでいいと思うのと同時に寂しく、懐かしくもあったが、そんなふうに思うことももうない。
最近は自分がそろそろ死ぬのではないかという予感があった。昔からこういう予感はよく当たる。
なので遺書などはきちんと用意し、不平不満がないように時に冗談臭く、時に真面目に意見を聞いて、保険会社やらなんやらと話をしながら作製した。
それはもう信用できる会社の方に渡してあるので問題はないだろう。
ここ数年は楽しかった。孫も曽孫も、息子、娘達もよく遊びに来てくれた。
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