友達作り

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屋根の上に居たのも、少女だった。黒色の長髪。半袖のワイシャツの上から、袖なしのパーカーを羽織ると言うラフな格好。下はプリーツスカートで、足元は裸足にフラットサンダル。 先程の少女よりも、少し低めの身長。 街を歩けば、どこにでも居るような、簡素な格好。 そして、その格好にとにかく似合わない――どこか、歪な違和感を覚える――対物ライフルを持っていて。 その照準が、サザンカを狙っていた。 ――瞬間、発砲音。 「……殺意全開だな」 目の前に。 オレンジ色を騙る、大鎌と短機銃を持った少女が現れた時から、気がついていた。 左側の建物の上に――とんでもなく莫大な殺意を抱えた人間が、潜んでいることに。 それは言うなれば、イルカ同士が超音波でお互いの存在を確かめあい、意思疎通するような感覚。 殺意で繋がる存在認識。 だからこその――幸運。 あの偽物の少女が、本物でないことには最初から気がついていた。だから、ずっと、左上を見ていたのだから。 とにかく、殺されては目的を達成できない、と、サザンカは後ろへと走り出す。背後からは凄まじい発砲音が何発も聞こえるが、その銃弾はサザンカの周囲の地面を抉るばかりだった。 逃げながら、サザンカは考える。 ――友達に、なれるかな? 背後から追ってくる、殺意の塊を感じながら、サザンカは笑みを浮かべた。 ×      × ――やけに照準がぶれる。 ――変だ。 ――弾丸が、勝手に逸れる。 ――まるで、銃弾が意思を持って、外れていくように。 ――おかしい。 ――なんだ、あれ。 ――笑っている? ――おかしい。 ――おかしい。 ――可笑しい。 ――…………。 ――楽しい? 「Convert」 ふと、少女は、自身の口元が半月を描いているのに気がついた。人殺しの楽しみを見出してから、かれこれ二ヶ月は経過したわけだけれど、最近はそれもマンネリと言うべきか、何だかあまり楽しくなくなってきてしまっていた。 理由は明快。 あまりにも、簡単すぎた。 さっきだってそうだ。あんなにも、簡単に、楽に、考える間もなく、怯える間もなく、一瞬で、対象の頭の中身をぶち撒けてしまった。
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