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試しに俺はボタンを押して見た。すると、鎖が凄まじい音を立てて引っ込んでいき、半径20cmもある球体は、音を立てて展開し、全てが、取手に収納された。
「これはすごい技術だな。誰かが発明したんだろう。」
俺はそんな適当なことを言ってそのモーニグスターの取っ手を懐にしまい、扉を開けた。
否、開かなかった。外側から押さえつけられているような感じだった。
成る程。文字通りの“休め”という意味だったらしい。オートロックか、なんらかの技術だろう。いや、魔術かもしれない。
仕方ないと諦め、俺はベッドの上で寝転んだ。
するといきなり、ホテルさながら豪華な台の上に置かれてあった、1980年代に使われたであろう古風な電話が盛大に鳴り響いた。
こんなものがあったのか。と思いつつ、俺は電話を取った。
「お待たせいたしました。夕食の準備が完了いたしましたので、中央ホールまでお越しください。」
自動音声だろうか。ウンディーネの声で電話はそう告げた。
「やっと出られるのか。」
安堵した俺は、固く閉ざされていた扉を開けた。今度はすんなりと開き、廊下に出た。
治療室とか言ってたため、廊下は病室のような廊下だと思っていたが、廊下は意外とさっきまでいた部屋と同じテイストだった。
すごい徹底ぶりだな。とまるで自分がここを設計した人のように感心していると…
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