君からの贈り物

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俺の時間はあの日のまま止まっている。約10年前のあの時のまま───。 高校卒業1か月くらい前のあの日、泣きながら嫌がる親友の君を無理やり抱いてしまったね。卒業まで、俺と視線すら合わせてくれない程、嫌われてしまったことで、俺は漸く自分がしたことの重大さに気づかされた。 あれから約10年、俺も社会人として仕事も慣れてきたけれど、恋人らしい恋人は出来ないままだ。どうしても君を忘れられない。出来ることならもう一度君に会って謝りたい。 出来ないことはわかってる。それでも───。 部屋の本棚に1度も開くことのないままの手作りのアルバムが雑誌に紛れて置かれている。卒業式の後、他の友人伝いに君からだと袋に入れられて渡された1冊のアルバム。中に写真が入っているだろうことはわかっていても、開くことが怖くて1度も開けないでいるんだ。そのアルバムに君の俺を拒絶する何かがあるようで、これ以上嫌われることが怖くて、約10年の間ずっと本棚にしまったままだ。 一人暮らしの部屋の中で、ベッドに腰かけながらアルバムのある棚をジッと見つめていると、携帯が鳴りだした。誰だろうと思い携帯を見てみると、そこには高校時代のクラスメイトの名前が映し出されている。 「はい。」 『───深崎?』 「うん。そうだよ。水岸だろ?」 『よかった。久しぶりだから番号変わってたらどうしようかと思ったんだ。来月同窓会やろうって話になってるんだけど、来れる?てか来いよ!』 強引だなと思ったけれど、10年の間何度かあった同窓会の話を全て断ってきた俺には、これ以上断ることは出来そうになかった。 「わかったよ。日程は決まってるのか?」 『いや、まだなんだけど。』 「来月ってもう今月半分終わってるじゃないか。早めに休み出さないと取れないから早く決めてくれ。休めないと帰りも遅いから電車なくなって参加出来なくなるぞ。」 『マジ?土日とか休みじゃない?』 「うち土日祝日関係ないから。あー、土日での連休はとれないから土曜日は無理だからな。金土は聞いてみないとわからない。」 『んー、何週目なら休み取れるか聞いてそこの休み取って。明日仕事ある?』 「あるよ。」 『明日休み取ったとこ教えて。そこに入れられるようにしてみるから。』
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